お知らせ(3.12 更新! NEW!)

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 朝夕にひんやり心地よい風を感じる季節になりました。これから次第に深まっていく秋、そして冬の季節に向けて、響き館では10月7日(土)より、「ふたり」をテーマにした企画展を開催します。恋人、夫婦、親と子、友達など・・・絵本の中に描かれる、様々な「ふたり」の情景。喜び、悲しみ、愛しさと切なさと、そこに描かれる感情もまた実に様々ですが、その根底には、絵本ならではの「温かさ」と「希望」が確かに流れているように思います。 

 企画展おすすめの一冊「紙のむすめ」(ベルハッセン/文 シャピラ/絵 光村教育図書)は、日本で紹介されることが大変珍しいイスラエルの作品。白い紙の丘に住む、紙から生まれたむすめの元に、ある日おおきな白い紙が飛んできて---。この絵本の最大の魅力は、すべての絵が精緻で美しい「切り絵」で描かれているだけでなく、物語そのものが切り絵にリンクしているところです。ベルハッセンが書き下ろした優しく温かい物語と、実に40年以上のキャリアをもつシャピラの切り絵の世界が見事に溶け合う、この美しい一冊は、その造本・装丁の美しさも相まって、2015年ドイツ・ライプチヒで開かれた「世界で最も美しい本」コンクールに日本から選ばれて出品されました。 

 次第に心も体も「温もり」を求めたくなる季節--絵本の中の「ふたり」の情景に、あなたならではの発見をしてみてはいかがですか。 

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10月28日(土)、開館以来12度目となる、絵本の朗読とジャズのコンサートを開催します。今回取り上げる作品は、台湾の国民的絵本作家ジミー・リャオの「星空 The Starry Starry Night」。思春期の少女の孤独や不安、憧れ、成長を、ジミーならではの独創的な色彩と造形による絵画世界で、見事に描き出した傑作です。2011年には映画化もされた(※今秋、公開が決定)この作品は、ジミーの作品の中でも最高傑作のひとつと称され、長く邦訳が待たれていました。本公演では、深く美しい声で私達を魅了してくださるジャズボーカリストの樋口みづほさんと、気鋭のジャズピアニスト、西脇敦子さんのお2人が、この素敵な絵本を、美しいスクリーン映像とともに、朗読に、即興を交えたスタンダードジャズを絡めてお届けします。

 

公演後恒例のティータイムでは、館内の絵本をゆったりお楽しみいただける他、「星空」はもちろん、国内外の魅力的な絵本の販売もおこないます。皆様のご参加を楽しみにお待ちいたしております。

 

※ご予約は、10月14日(土)正午~、先着順にて受け付けます。人気の公演につき、お早目のご予約をお願いいたします。公演詳細とご予約方法は、「イベントのお知らせ」をご覧ください。

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去る9月2日(土)、7周年記念感謝イベント「大人絵本スペシャル」を開催いたしました。初めての自主企画のトークイベントということで、不安ばかりでしたが、定員を超える方からのお申込みをいただき、好評のうちに終えることができました。本当に有難うございました。 

 

今回は店主自らナビゲート役を務めさせていただき、この7年間に出会った絵本の中でも、特に心に残る作品を何冊かご紹介しながら、改めて「大人にとっての絵本の魅力」を探りました。絵本から教えられたこと、そして絵本だからこそ伝えられること・・・忘れられない「安曇野絵本館」との出会い~響き館の歩みとこれからのことを含めて、微力ながら精一杯お話をさせていただきました。言葉足らずの点も多々ありましたが、ご紹介させていただいた絵本、そしてお話させていただいた内容のうち、一つでも皆様の心に残ってくれたら、それ以上に嬉しいことはありません。

 

開館以来の7年間、響き館は本当に素晴らしいお客様に恵まれてきたと思っております。そして今回のイベントで、その思いを一層強くいたしました。ティータイムでお願いしたアンケートにも、たくさんの温かい励ましのお言葉をいただきました。皆様の想いに感謝し、少しでもその期待に応えられるよう、これからも頑張っていきたいと思っております。

 

今後とも、この小さな「大人のための絵本館」を、どうか末永くよろしくお願いいたします。 

 

[付記]

残念ながら、響き館の原点ともなりました「安曇野絵本館」(長野県)が2015年夏、4半世紀の歴史に幕を降ろされました。「大人のための芸術」としての絵本に初めて気づかせてくださった同館と、いつもご親切にしていただいた、オーナーの廣瀬さんご夫妻には感謝の気持ちで一杯です。本当に有難うございました。

 

※今回のイベントは、感謝企画として、リピーターの方のみへのご案内とさせていただきました。どうかご了承いただければ幸いです。

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 梅雨入り後、既に夏のような強い日差しが続くこの頃。生命が輝く太陽の季節はもうすぐそこです。--この夏、休みを利用して、旅行に出かける人も多いのではないでしょうか。イマジネーション豊かな絵本の世界では、時には世界を駆け巡り、時には何百年、何千年の時を旅したり・・・響き館では、旅の季節に合わせ、6月17日(土)より、そんな絵本の醍醐味をたっぷり味わえる企画展「時空を超えて~旅と想像力の絵本~」を開催します。 

 企画展おすすめの一冊「ぴっぽのたびは」は、現在イタリアのミラノを拠点に、国際的に活躍されている刀根里衣(とねさとえ)さんの作品。2013年のボローニャ国際絵本原画展で、日本人初の「国際イラストレーション賞」を受賞し、彼女の世界的評価の足掛かりとなった作品です。ひとりぼっちのカエルのぴっぽは、小さなひつじと一緒に夢の旅に出ます。季節をめぐる旅の中での出会いと別れを通して、びっぽが見つけた大切なものは…。これほど色彩が豊かで、繊細で精緻な美しさに溢れた絵本は他に類を見ないほどで、どのページを開いても、まさに刀根さん独自の、息をのむような美の世界が広がります。 

 うだるような夏の暑さに、心も体も疲れがちな季節--上質の絵本に囲まれた、響き館の温かい空間で、心躍るような、時空を超える旅に出かけてみてはいかがでしょうか。

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 去る5月13日(土)、朗読家の馬場精子さんをお迎えして、シリーズ4回目となる朗読公演「朗読と音楽で綴る~文学と絵本散歩~」が開催されました。当日は午前中はあいにくの雨模様でしたが、午後からは天候も回復し、今回初めての春開催というプログラム内容に相応しい、温かく爽やかな公演となりました。

 最初の文学作品の朗読は、有名な夏目漱石の「吾輩は猫である」より。あまりにも有名な冒頭から、少し先へ行った当たりの物語を朗読してくださいました。主人公の猫がオスであることから、男性の読み手で語られることも多いこの作品ですが、馬場さんの表情豊かな語りは、まさしく主人公の猫になり切って、聴き手の心を引きつけ、この皮肉とユーモアたっぷりの人間観察の模様を、活き活きと伝えました。全部で11章に及ぶという、この長編小説、参加者の中にも全部を読んだことがないという方も多く、「是非全編読んでみたい」という感想も聞かれました。

 続く絵本パートでは、開催中の企画展からおススメの作品を2冊ピックアップ、こちらは絵と音楽を加えて、ちょっと贅沢なコラボレーションで楽しんでいただきました。ここでも馬場さんの語りは、音楽の旋律の動きや表情を見事にとらえながら、実に豊かな物語の世界を展開されます。優しく繊細な筆遣いから、細やかかつ鮮やかな切り絵による絵画表現まで、絵の世界との調和も見事でした。まとめの挨拶でもお伝えさせていただきましたが、上質な絵本は、言葉(語り)と絵画と音楽のコラボレーションという、まさに大人のための「総合芸術」として味わえるということを、改めて認識させられるひと時でした。そしてそれを可能にしてくれているのが、素晴らしい作品の質と、「芸術としての朗読」をずっと追求し続けておられる馬場さんの見事な語りであることは言うまでもありません。響き館は小さな空間ではありますが、絵本の魅力を新たな角度で発見できる貴重な機会として、これからもこの「文学と絵本散歩」の企画を大切に育てていきたいと思っております。作品選び、綿密なリハーサルから当日まで、公演の成功に向けてご尽力くださった馬場精子さん、お忙しい中ご来場いただき、熱心に耳を傾けてくださった皆様、本当に有難うございました。

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2024.03.28 Thursday