お知らせ(11.1 更新! NEW!)

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 既に手に取られた方もおられるかもしれませんが、先日出版された「全国 旅をしてでも行きたい 街の本屋さん」(発行:G..)の中で、響き館を紹介してくださっています。

 

 タイトル通り、わざわざ旅行をしてでも是非訪れたい全国の個性的な書店を紹介するという本書は、昨年に出た同趣旨の「東京編」に続くものですが、このような書籍に取り上げられることは、本当に光栄で嬉しく思っています。2010年春のオープンから8年余り、もともと絵本カフェとしてスタートし、それは現在も変わらないのですが、この間、蔵書の数は1000冊近くに達し、当初は少なかった販売タイトルの数も何倍にも増えました。私の中でも、「響き館=本屋さん」という意識がどんどん強くなってきたのです。もちろん京阪神からのお客様が大半ですが、中には北は北海道から南は沖縄まで---随分遠くからお越しになり、「響き館のことを知って、いつか京都に行く機会があれば是非訪れたいと思っていました」とおっしゃってくださることがあります。こんな小さな街の書店にとって、これほど幸せなことはありません。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

 

 本が売れない時代、地方を中心に、本屋さんが1軒もない自治体がかなりの割合にのぼると聞きます。そんな中、1冊の絵本を買ってくださることは、何よりも大きな喜びです。響き館で絵本を購入してくださるお客様が「この絵本連れて帰ります」とおっしゃることがあります。「連れて帰る」という言葉、それはきっと、「ここでこの絵本と出会って、そのまま置いて帰り難くて、やっぱり一緒に帰ります」ということなのでしょう。「物」としての本なら、インターネットも含めて、いつどこででも買うことができますし、品物自体はまったく同じものです。けれど、本と出合ったその時の「思い出」として「連れて帰る」ことは、本屋さんという、実際に過ごす「時間と空間」を伴う場所でしかできない体験だと思うのです。響き館の原点となった、安曇野絵本館・館長の故・廣瀬さんが、冗談交じりに「ここで買った絵本から何かここだけの特別な香りがすればいいのになあ」とおっしやったことがあります。実際に香りはしなくても、安曇野絵本館で買った絵本は今でもすぐに分かりますし、本の中にその時の気持ちや思い出がいっぱい詰まっています。

 

 改めて、今回このような企画にお声かけいただいたG..の長谷川さん、中尾さん、また丁寧な取材と素敵な記事を書いてくださった「ことり会」のライター、江角さんに心から感謝いたします。忙しい日常の中で、大人が絵本とじっくり向き合える貴重な時間と空間を提供すること、そして一冊一冊の絵本を心をこめて紹介し、お客様と絵本を結ぶお手伝いをすること、これからもそこに力を注いでいければと思います。今後とも響き館をよろしくお願いいたします。

 

※「全国 旅をしてでも行きたい 街の本屋さん」(和気正幸、荒井宏明、他/著 G.B.  ¥1728(税込))

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 9月最初の週末、本と音楽のイベントとして、「東山魁夷を聴く~絵本とピアノの贈り物 vol.2~」が開催されました。出演は、北欧(ノルウェー、フィンランド)に留学後、現在は日本と北欧を拠点に演奏活動をされているピアニスト、安保美希さん。昨年12月に続いての響き館公演となりました。前回は、得意のレパートリーである北欧の音楽を、北欧の絵本紹介とともに聴かせてくださいましたが、今回はがらりと雰囲気を変えて、オール、ドイツ・オーストリアの名曲プログラム。 8月29日より始まった「東山魁夷展」(@京都国立近代美術館)にちなみ、魁夷にちなんだ絵本や画文集の紹介とともに、見事な演奏を聴かせてくださいました。絵本「白い馬」(東山魁夷/絵 松本猛/文 講談社)の紹介では、魁夷の代表作となった連作「白い馬」シリーズの中の一枚「緑響く」の誕生の契機となった、モーツァルト「ピアノ協奏曲 K.488」第2楽章他を、また画文集「四季めぐりあい」(講談社刊)の紹介では、季節ごとのイメージで、ベートーヴェン、ブラームス、シューベルト、シューマンの珠玉の名曲たちを演奏されました。ドイツ・オーストリアは、留学や旅行を通して魁夷にとって大切な土地であり、またモーツァルトの音楽との出逢いは、生涯を共にする「伴侶」を得たというほど、大きなものだったそうです。安保さんの紡ぎ出す音楽は、その誠実なお人柄のままに、一つ一つの音や旋律を大切にかみしめるような、丁寧な演奏で、それぞれの曲の魅力が素直に心に響いてきます。そして、何といっても今回特に感じたのは、その選曲の素晴らしさです。どれも、絵のイメージから直感で選ばれたとのことでしたが、公演のMCでは、曲の解説とともに、魁夷はもちろん、ご自身との関りやイメージなども丁寧にお話してくださり、初めて耳にする曲でもとても身近に感じることができました。晩年、魁夷は「描くことは「祈り」である」と語ったそうです。音楽を聴きながら魁夷の絵を改めて眺めていると、魁夷が「風景」の向こうに描こうとしていたものが、見えてくるようにも思いました。

 本のある空間に魅了され、昨年から「本と音楽のプロジェクト」(Honmonotone)をスタートさせた安保さん。その新しい試みと演奏スタイルで、今後ますますの活躍が期待されます。そしてまた響き館でも、絵本とともに素敵な音楽を奏でてくださる日を楽しみに待ちたいと思います。北欧での演奏活動から帰国されたばかりのお忙しい中、公演準備に取り組んでくださった安保さん、雨の中会場へお越しくださり、熱心に耳を傾けてくださったご来場の皆様、本当に有難うございました。

 

※「生誕110年 東山魁夷展」は、10/8まで京都国立近代美術館にて開催中です。氏の芸術の集大成の一つ、圧倒的なスケールの唐招提寺の襖絵の他、年代やジャンルごとに代表作を一度に目にすることのできる貴重な機会となっています。是非、足をお運びください。

 

<演奏曲目>

シューマン「森の情景」Op.82 ~第1曲「森の入り口」(オープニング)

モーツァルト:ピアノソナタ K.282~第2楽章

モーツァルト(ライネッケ編曲):ピアノ協奏曲 第23番 K.488~第2楽章

ベートーヴェン:ピアノソナタ第24番「テレーゼ」~第1楽章

ブラームス:6つのピアノ小品 Op.118~第2曲:間奏曲

シューベルト:即興曲 第3番 Op.90-3

シューマン:子どもの情景 Op.15 ~第1曲「知らない国々」

ドビュッシー:夢(アンコール)~企画展おすすめ「にいさん」(いせひでこ/作 偕成社)に寄せて

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