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「ライアーと唄で綴る絵本時間」、とても豊かで贅沢な時間となりました!
去る5月25日(土)、イギリス出身の世界的ライアー奏者、ジョン・ビリングさんと、ケルトや沖縄の物語やメッセージを歌い継ぐ歌手、高野陽子さんをお迎えして、「ライアーと唄で綴る絵本時間」を開催しました。今回の公演は、詩やケルトの物語絵本を紹介しながら、お二人の音楽をたっぷり楽しむというものでした。
公演の最初は高野さんによる絵本の朗読。読んでいただいたのは「きこえる?」(はいじまのぶひこ/作 福音館書店)という作品。ステンシルという技法で描かれたシンプルで美しい絵をみながらページをめくると、静けさの中に、豊かな音が聴こえてくるという、この絵本は、公演の最初にまさにピッタリの絵本でした。音楽療法にも用いられるというライアーの音色は、西洋楽器でありながら、向こうから強く迫って来る音ではなく、こちらが心を真っ白な状態にしたとき、そっと心の奥に届いてくるような、繊細で優しいもの。この絵本の最後の「きこえる?」という問いかけの後に、ビリングさんのライアーの音がそっと奏でられた瞬間の、何とも言えない、心地よさ、豊かさに、うっとりしました。
公演は、朗読に寄り添うようなライアー演奏に続いて、ビリングさんのソロ演奏のコーナー。オリジナル曲や、バッハの楽曲を楽しみました。東北の鎮魂のために作曲された曲や、甘美なラブソングなど、やわらかで豊かな音楽が、聴き手の心を包みます。ビリングさんの演奏を聴いて、真っ先に感じるのは、その響きの豊かさ。やや大型のライアーで奏でられるその音色は、とても低音が豊かで、そこに限りなく繊細で美しい高音が見事に調和します。初めてライアーを聴かれたお客様も含め、すっかりその音楽に魅了されました。
そしてコンサートのメインはケルトの物語絵本と音楽のコーナー。ここでは名作「海と島のマイリ」(クーパー/文 ハットン/絵 すえもりブックス)の一場面の朗読に続いて、ケルトの名曲を楽しみました。特に最初に歌われた Mermaid という曲は、イギリス・最北端の島々に伝わるセルキー(あざらしの妖精)伝説を基にした絵本にピッタリの選曲でした。ビリングさんのライアーに支えられて、高野さんの伸びやかで美しい歌声に耳を傾けながら、名曲を通して、ケルトの文化やメッセージが伝わってきます。途中で披露された、高野さんによるバウロン(アイルランドの打楽器)演奏も、とても新鮮でした。
いよいコンサートの終盤は、高野さんのライフワークのもう一つの柱である沖縄にちなんだ絵本の紹介に続いて、名曲「てぃんさぐぬ花」。ここからアンコールまでは、高野さんも小型のライアーを弾かれて、ライアーの二重奏とともに、美しい歌声を堪能するという、贅沢な時間となりました。
今回の公演を通して、朗読や歌を決して邪魔することなく、言葉にそっと寄り添うようなライアーの魅力を改めて再認識させられました。今回素晴らしい演奏を届けてくださったジョン・ビリングさん、当日の歌や朗読の素晴らしさはもちろん、準備の段階から熱心にご尽力くださった高野陽子さん、そして最高気温35度という真夏のような暑さの中ご来場くださり、熱心にお聴きくださった皆様、お陰様でとても豊かで贅沢な「絵本時間」となりました。本当に有難うございました。