お知らせ(6.28 更新! NEW!)
7/27(日)朗読と音楽で綴る~文学と絵本散歩~ 10回目となる記念公演を開催します!

開館15周年、記念企画の第2弾は、朗読家・馬場精子さんを招いての、好評のシリーズ「朗読と音楽で綴る~文学と絵本散歩」。約4年ぶりに開催され、大好評を博した昨年に続き、今回は10回目の節目となる記念公演になります!
今回取り上げる作品は、何千年の命を生きる、屋久杉の森の誕生を、圧倒的な美しさで描いた「水の森」(高田裕子/作 アノニマ・スタジオ)。そして、37年という短い生涯の中で創作への魂を燃やし続けた画家ゴッホと、唯一彼を理解し支え続けた弟テオの物語「にいさん」(いせひでこ/作 偕成社)。切り口は違いますが、いずれも、夏に相応しく、みなぎるような「いのち」の煌めきを感じる作品です。
長年のキャリアの中で「芸術としての朗読」を追求されてきた、朗読家・馬場精子さんの心揺さぶる朗読を、大型スクリーンに投影される絵と、美しい音楽とのコラボレーションで、是非ご堪能ください。
尚、公演後恒例のティータイムでは、美味しいロンネフェルト紅茶を味わいながら、館内の絵本展示もゆっくりお楽しみいただけます。皆様のご参加を楽しみにお待ちいたしております。
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日時:2025年7月27日(日) 15:30開演(15:00開場)
※約1時間の公演後、館内の絵本を楽しむティータイム。最大18時までお楽しみいただけます。
出演:馬場精子(朗読家)
朗読予定作品:
「水の森」(高田裕子/作 アノニマ・スタジオ 2015)
「にいさん」(いせひでこ/作 偕成社 2008)
会費:2,800円(要予約・先着順、ロンネフェルト紅茶つき)
お申込み方法:
下記、予約ページより受付中(先着順・定員10名 残席僅か)
春の特別開館「ぼくのたび」みやこしあきこ絵本原画&作品展、全日程終了、ご来場有難うございました!

開館15周年を記念して開催した、今年の春の特別開館:「ぼくのたび」みやこしあきこ 絵本原画&作品展が、会期後のオンライン販売会、特別アンコールも含め、全日程を無事に終了いたしました。記念の年の企画展に相応しく、とびきり素敵で幸せな時間になりました。お忙しい中、近郊からもご遠方からもお越しくださった皆様には、改めて感謝申し上げます。
みやこしさんがオールリトグラフで制作した初めての絵本「ぼくのたび」。リトグラフならではの色彩の重なりの美しさと、コントラストを活かした光と影の見事な表現。みやこしさんならではの美しい絵画世界にすっかり魅了されました。
そして、今回はメイキングと朗読映像の2本立てとなった、映像上映。メイキングでは、絵本の構想から、リトグラフという技法がいかに緻密で、時間と労力を要するものであるかを実感し、朗読映像では、朗読家・馬場精子さんの深みのある美しい声と、絶妙の間の語りで、絵と言葉と音楽が、心の奥深くに刻まれていきました。
旅が好きで、国内外のさまざまな場所を巡ってきたみやこしさんにとって、「たび」はずっと描きたかったテーマでした。しかし制作の中で、自分が描きたかったのは「たび」そのものではなくて、「たびの本質」や「たびを思う気持ち」、言い換えると「未知の世界に憧れる気持ち」だということに気がついたと言います。
物語の後半、「非日常」である「夢の中のたび」(絵本ではカラーで描かれます)から、モノクロで描かれる「ホテルの日常」に戻ってからは、まさにその「憧れ」の気持ちが溢れ出てくるようです。同時に、主人公にとって、ホテルの日常は、同じくらい「大切な居場所」であり、お客さんたちが世界中から届けてくれた葉書や手紙が、その「日常」と「非日常」を繋ぐ存在であったことに気づかせてくれます。
思えば、15年前、響き館を始めたのも、ある「たび」がきっかけでした。人生の折り返し点で、何もかもに行き詰っていたあの頃、信州・安曇野の旅で出会った「安曇野絵本館」。当時、大人になって絵本のページを開いたことも、絵本の「原画」という言葉すら知らなかった自分にとって、何もかもが美しく新鮮で、心が洗われる瞬間でした。あの時、苦しかった「日常」と、だからこそ出会えた「非日常」。二つの世界は、決して別々ではなく、つながっている・・・「ぼくのたび」を通して、そんなことも感じました。
そして、会期中盤のハイライトは、ケルト音楽の歌い手、高野陽子さんによる、記念コンサート。「歌とライアーで巡る、ケルトの音のたび」と題された公演では、高野さんがライフワークとしている、スペイン・サンティアゴ巡礼の旅にスポットを当て、旅のスライドトークと音楽で、聴き手を魅了しました。
「ぼくのたび」の映像上映に続いて、そっと美しく歌いだされた Alala de Muxia。少し哀愁を帯びたケルトの調べが、一瞬にして、私たちを遠い異国の世界へ連れて行ってくれます。聖地を目指す旅のお話は、どのエピソードも面白くて、まさに「ぼくのたび」に書かれている通り、「おもいもよらないことが まいにち おこる」。しかしだからこそ、たびは魅力的で、高野さんが、いつも「訪れるその土地には、必ずそこに伝わる物語や人々の想いがあり、それを歌を通して伝えたい」とおっしゃる意味が分かるように思いました。道中いろんな出来事を経て、とうとう聖地に辿りつき、最後にもう一度歌われた Alala de Muxia。まるで一緒に長い旅をしたような、聴きながら、いろんな想いが溢れました。
今回のコンサートでは、高野さんの美しい歌声とライアーによる弾き語りが中心でしたが、ケルトならではの多彩な楽器たちも魅力でした。通奏低音を奏でるシュルティーボックスや、ダイナミックなリズムのパンデイレタ、まるで波の音を再現する!?ような楽器まで登場し、コンサートは、終始、異国の響きに溢れていました。
高野さんは、ケルト文化圏以外にも、沖縄の音楽や、近年では熊野古道の巡礼の旅などにも、世界を広げておられます。「これからもずっと旅をしながら音楽を続けていきたい」という、高野陽子さん。彼女のこれまでのキャリアと想いがぎっしり詰まった、素晴らしいコンサート。絵本「ぼくのたび」にこめられたメッセージが、素敵な音楽とともに、さらに味わいを増して心に刻まれ、至福の時間となりました。
最後に、春の特別開館を終えるにあたり、この空間を大切に思って、いつも応援し、足を運んでくださるお客様、素晴らしい絵本とリトグラフ作品を届けてくださった、みやこしあきこさん、いつも素晴らしい語りを聴かせてくださる朗読家の馬場精子さん、そして企画段階から運営まできめ細かくサポートしてくださったブロンズ新社さん、改めて本当に有難うございました!
開館から15年、いろんな方の支えがあって、ここまで何とか続けてこられました。大人のための、上質で美しい、絵と言葉と音楽と。当初からのコンセプトをこれからもずっと大切に、また次の節目まで、一日一日を大切に歩んでいこうと思います。
今後とも響き館をどうぞよろしくお願いいたします。