お知らせ(4.5 更新! NEW!)

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 去る5月13日(土)、朗読家の馬場精子さんをお迎えして、シリーズ4回目となる朗読公演「朗読と音楽で綴る~文学と絵本散歩~」が開催されました。当日は午前中はあいにくの雨模様でしたが、午後からは天候も回復し、今回初めての春開催というプログラム内容に相応しい、温かく爽やかな公演となりました。

 最初の文学作品の朗読は、有名な夏目漱石の「吾輩は猫である」より。あまりにも有名な冒頭から、少し先へ行った当たりの物語を朗読してくださいました。主人公の猫がオスであることから、男性の読み手で語られることも多いこの作品ですが、馬場さんの表情豊かな語りは、まさしく主人公の猫になり切って、聴き手の心を引きつけ、この皮肉とユーモアたっぷりの人間観察の模様を、活き活きと伝えました。全部で11章に及ぶという、この長編小説、参加者の中にも全部を読んだことがないという方も多く、「是非全編読んでみたい」という感想も聞かれました。

 続く絵本パートでは、開催中の企画展からおススメの作品を2冊ピックアップ、こちらは絵と音楽を加えて、ちょっと贅沢なコラボレーションで楽しんでいただきました。ここでも馬場さんの語りは、音楽の旋律の動きや表情を見事にとらえながら、実に豊かな物語の世界を展開されます。優しく繊細な筆遣いから、細やかかつ鮮やかな切り絵による絵画表現まで、絵の世界との調和も見事でした。まとめの挨拶でもお伝えさせていただきましたが、上質な絵本は、言葉(語り)と絵画と音楽のコラボレーションという、まさに大人のための「総合芸術」として味わえるということを、改めて認識させられるひと時でした。そしてそれを可能にしてくれているのが、素晴らしい作品の質と、「芸術としての朗読」をずっと追求し続けておられる馬場さんの見事な語りであることは言うまでもありません。響き館は小さな空間ではありますが、絵本の魅力を新たな角度で発見できる貴重な機会として、これからもこの「文学と絵本散歩」の企画を大切に育てていきたいと思っております。作品選び、綿密なリハーサルから当日まで、公演の成功に向けてご尽力くださった馬場精子さん、お忙しい中ご来場いただき、熱心に耳を傾けてくださった皆様、本当に有難うございました。

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2024.04.19 Friday