お知らせ(4.5 更新! NEW!)

今年の京都も既に梅雨に入り、蒸し暑い日が続いております。春の企画展として開催してまいりました、絵本「ことり」南塚直子・原画展は、会期を少し延長しまして、今月末(~29日(月))までご覧いただけることとなりました!

まど・みちおさんの世界観のたっぷり詰まった詩と、南塚直子さんの描く、心に優しく触れる銅版画の世界。お忙しくて見逃してしまった方はもちろん、もう一度見ておきたいという方も、是非、ご来場をお待ちしております。尚、会期中に一度お越しになられたお客様は、クーポン(レシート)をお持ちいただければ、来店日に関わらず、ご同伴の方も含めて、1ヶ月以内の割引きを適用させていただきます。

南塚直子さんのサインとイラスト入りの「ことり」限定本は、残りが大変少なくなっておりますので、ご希望の方は、お急ぎください。

また7月からは、いよいよ夏の企画展が始まります。こちらは改めてお知らせをいたしますので、どうぞご期待ください。

5月16日(土)、原画展を開催中の絵本「ことり」(まど・みちお/詩)の作者である、絵本作家・銅版画家の南塚直子さんをお迎えして、お話会(ギャラリートーク)がおこなわれました。最初に「ことり」の作品紹介として、7分間ほどの朗読映像を楽しんでいただいた後、この絵本の背景や、詩人のまど・みちおさんのことから、静かにお話を始められました。まどさんは、昨年2月に、惜しまれつつも104歳で亡くなられましたが、詩集の絵本を作るにあたって、初めてまどさんとお会いになられた時のお話をはじめ、様々なエピソードから、その謙虚で優しい、そしてユーモアに溢れるお人柄が偲ばれました。中でも印象に残ったのは、まどさんの世界観のお話でした。まどさんによると、「あらゆる生き物は、その生き物に生まれてきたことを喜んでいる」のだそうです。そしてそのお考えから、キリスト教(=人間は神の子だけれども、他の生き物はそうではない)をやめられたとのことでした。南塚さんは、そのまどさんの世界観を「いきもののくに」や「くまさん」の詩を紹介されながら、とても分かりやすく説明してくださいました。「みんなそれぞれ違っていていい」・・・私達がよく耳にする言葉ですが、競争が激しくゆとりのない現実の社会では、どこか陳腐で上滑りして響くのに対して、まどさんの易しい(優しい)語り口の言葉で綴られると、すっと心の奥深くに届くように思いました。もともと、まどさんと南塚さんによる詩の絵本シリーズは、3部作で終わる予定だったらしいのですが、4作目の「ことり」には、どちらかと言うと大人の読者に向けて届けたいと、南塚さんが心の中でずっと温めていた詩が収められたそうです。中でも「りんご」の詩の深い世界を絵にするに当たっては、大変な苦労をされたとのことでした。

 

お話の後半は、銅版画との出会い~ハンガリー留学~今学ばれている陶板のこと、とこれまでの豊かなキャリアを振り返りながら、これからの夢などを生き生きと語られました。もともと油絵を描いておられたという南塚さん。本格的に絵を志されたのは比較的遅かったらしいのですが、銅版画というものに出会い、それが絵本の世界と結びついて、数々の名作を生みだしてこられました。南塚さんの銅版画は、一版多色刷という手法で、一枚の版から刷れる枚数が大変限られているとのこと。日本でも大変珍しいやり方だそうですが、納得のいく絵本の原画が一枚完成すればよいという南塚さんにとっては、まさにぴったりの方法で、どちらかと言うとモノクロに近い色彩が多い銅版画の世界の中で、鮮やかな色彩を特色とするやり方は、絵本との相性が非常によかったようです。

 

現在は京都嵯峨芸術大学に社会人留学をして、陶板の制作をされている南塚さん。きっかけは、原因不明の体の激しい痛みに何年も悩まされ続けていたのが、ある検査で病気が見つかり、それを手術で克服したことからでした。改めて「生かされている」喜びと感謝の気持ちでいっぱいになった時、ハンガリー留学当時、とても興味を持った焼き物(陶芸)の世界にもう一度飛び込んでみたくなったそうです。これまで、平面の中で自分の世界を表現してこられた南塚さんにとって、凹凸のある陶板に、銅版画の技法を用いて絵を描く作業は、本当に新鮮で魅力的に思えるようで、実際の美しい作品をいくつか見せてくださいました(=写真)。2月の個展(@京都)に続き、今度は東京でも個展が予定されているそうです。

 

あっという間の一時間でしたが、ご病気などの苦労を乗り越えて、現在も新しい世界に挑まれている南塚さんのお話は、本当に生き生きとしていて、聴き手の私達にとってもとても励ましになる内容でした。お話の後のティータイム/サイン会では、南塚さんの絵本にサインや可愛いイラストを入れていただきながら、それぞれにお話を楽しんでおられました。「うさぎのくれたバレエシューズ」をはじめ、ロングセラーや人気作品も多い南塚さんだけあって、作品にまつわる思い出話にも花が咲いたようです。ギャラリートークという形のイベントは初めてでしたが、絵本を通じて、その作り手と読み手の心がひとつになる・・・そんなかけがえのない時間だったと思います。人前で話されるのはまだ2度目という機会にもかかわらず、気さくで温かいお人柄で、とても内容の濃いお話を聞かせてくださった南塚さん、またお忙しい中ご来場くださり、熱心にお話に耳を傾けてくださった皆様、本当に有難うございました。

 

日差しも暖かな初夏の週末、5月16日(土)に、開催中の絵本「ことり」原画展にちなんで、作者の南塚直子さん(絵本作家、銅版画家)をお迎えして、お話会(ギャラリートーク)を開催いたします。

 

絵本「ことり」は、昨年惜しまれつつ亡くなった詩人まど・みちおさんの珠玉の詩に、南塚さんが美しい銅板画をつけられた絵本。当日は朗読と映像・音楽による作品紹介の後、南塚さんが、この作品に込めた想いや製作過程での苦労、まどさんとの思い出などを語ってくださいます。また絵本作家としての長く豊富なキャリアから、ハンガリー留学時代を含むこれまでの創作や作品を振り返りながら、改めて銅版画の魅力や、現在新しく挑戦されている陶板の世界やこれからの夢など、貴重なお話がうかがえる予定です。

 

1時間のお話の後は、美味しい飲み物とお菓子をいただきながら、原画や絵本を鑑賞したり、南塚さんと直接お話を楽しんでいただいたり、ゆったり温かなティータイムを過ごしていただけます。また当日南塚さんの絵本をご購入の方には、ご本人からサインやイラストを入れていただける予定です。皆様のご参加を心よりお待ちいたしております。

 

只今先着順にて、ご予約を受付中です。内容詳細やお申し込み方法は、「イベント」ページをご覧ください。

 

(注)画像は、絵本「ことり」 (まど・みちお/詩 南塚直子/絵 小峰書店2009)より、「ねむり」 

温かな日差しと新緑が心地よい、春の季節、開館5周年を迎える響き館は、記念企画展として、4月18日(土)~6月15日(月)の期間、絵本「ことり」南塚直子・原画展を開催いたします。絵本「ことり」は、昨年惜しまれつつも104歳で亡くなられた詩人まど・みちおさんの100歳を記念して出された詩のえほん。常に小さな生命(いのち)を見つめ、そこに敬愛の情を惜しみなく注いだ氏の、珠玉の11篇の詩に、南塚直子さんが手がけた精緻で美しい銅版画が添えられています。まどさんと南塚さんの共作による、詩集絵本シリーズは本作が4作目。ことばと絵が美しく響き合う、味わい深い世界は、シリーズの中でも特に大人の読者の心に響くものとなっています。今回の原画展では、初公開となる、絵本「ことり」の貴重な原画11点と、またそれとは趣きの異なる、南塚直子さんの銅版画作品5点を展示(こちらはご購入も可能です)、その美しさをご堪能していただけます。期間中の絵本展示は、南塚直子さんの手がけた素晴らしい絵本作品はもちろん、「春によみたい絵本」「版画で描き出す絵本の世界」というテーマで特集を組みます。以下の関連イベントとあわせ、心躍る春のひとときを、響き館でゆったりとお過ごしください。

 

※期間中は、特別入館料800円(1ドリンクこみ)となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 

<関連企画・イベント>

1)絵本「ことり」 朗読と映像・音楽によるプロモーションとブックトーク

※プロのナレーション(朗読・福山ひでみ)と映像・音楽、そして簡単な解説で作品の魅力を紹介します。

※時間は毎日随時ですが、混雑状況等により実施できない場合もあります。

 

2)絵本「ことり」 ~南塚直子さんのサイン入り本(数量限定)を販売します。

 

3)南塚直子さんのギャラリートークを開催します。これまでのキャリアを振り返りつつ、創作にかける想いと新たな挑戦、まどさんとの思い出、作品誕生の背景など、貴重なお話をうかがう予定です。開催日、内容詳細、お申し込み方法などは、後日あらためてお知らせします。

 

4)南塚直子さんの美しい銅版画作品の展示・販売をおこないます。空間に優しく温かい彩りを添える作品ばかりです。ご自宅用や、プレゼントにもどうぞご検討ください。

 

<南塚直子・プロフィール>

和歌山県に生まれる。津田塾大学卒業後、ハンガリー国立美術大学で油絵と銅版画を学ぶ。絵本に『やさしいたんぽぽ』『うさぎのくれたバレエシューズ』『エッフェルとうのあしあと』『たんぽぽヘリコプター』『海うさぎのきた日』(小峰書店)、『青い花』(岩崎書店)などがあり、画文集に『ブタペストの夢電車』(小峰書店)がある。『うさぎ屋のひみつ』(岩崎書店)で赤い鳥さし絵賞、『キリンさん』(小峰書店)で第4回日本絵本賞を受賞する。現在、京都にて陶板を学ぶ。(小峰書店HPより転載・加筆)

 

注)画像出展 絵本「ことり」~「りんご」(まど・みちお/詩 南塚直子/絵 小峰書店刊 2009)

2015年最初のイベントは、昨春に続いて高野陽子さんをお迎えし、ライアーと三線の弾き語りで、ケルトの歌と、沖縄の島唄を楽しんでいただきました。開催中の企画展「エロール・ル・カインと物語絵本の世界」からの絵本紹介に続き、最初の曲目は有名な「サリー・ガーデン」。ライアーの優しい音色とともに、高野さんの美しく語りかけるような歌声で、物語の余韻をそっと引き継ぐようにコンサートがスタートしました。ライアーの音色は、響き館では何度目かになりますが、このドイツ生まれの言わば「西洋の竪琴」とも言える楽器の奏でる音楽は、ハープとはまた異なる、繊細で心に優しい、独特の心地よさと味わいがあります。高野さんの時に伸びやかで、時に繊細に歌うケルトの歌の旋律との相性もとてもよいものでした。「サイレント・オ・モイル」や「シューラ・ルン」など、ケルトの伝統音楽を楽しんだ後は、スライドを交えた高野さんのMCで、アイルランドの人々や文化の話を楽しませていただきました。初めてアイルランドを訪れた時の思い出を生き生きと語られるのを聴きながら、改めて歌のルーツを知り、また高野さんの歌への深い想いに触れる貴重な機会になりました。ケルトのお話の後、コンサートはいよいよ終盤へ。「どこかアイルランドと似ているところが多い」とおっしゃる沖縄のお話とともに、響き館では初めてとなる三線の音色が奏でられます。どこか懐かしく、また温かい調べとともに、「てぃんさぐぬ花」や「安里屋ユンタ」など、沖縄の島唄を伸びやかに歌ってくださいました。約1時間半に渡る盛りだくさんな内容のコンサートでしたが、「さまざまな土地を訪れ、長い時を経て伝わる物語やメッセージを唄い継いでゆきたい」という、高野陽子さんならではの公演となりました。本公演のためにご尽力くださった高野さん、そして当日、お忙しいところ足を運んでくださり、唄と物語に熱心に耳を傾けてくださった、ご来場の皆様、本当にありがとうございました。

 

Today's Schedule
2024.05.01 Wednesday