お知らせ(8.2 更新! NEW!)

6年ぶりの「絵本とJazzの調べ」。大人限定の絵本カフェならではの、贅沢な時間でした。

915日(月・祝)、樋口みづほさん(朗読&Vo.)と北脇久士さん(Gt.)をお迎えして、「絵本とJazzの調べ vol.14」が開催されました。2010年の開館以来、毎年のように回を重ねてきた人気のシリーズですが、前回の公演からはコロナ禍を挟んで何と6年ぶり、待望の復活公演となりました! 

この日、取り上げた絵本は3冊。絵本とスタンダードジャズの見事な融合によって、いずれも心に深く刻まれるものとなりました。 

最初の絵本は、From a Distance。ソングライターのジュリー・ゴールドが40年前に発表して以来、ナンシー・グリフィスやベット・ミドラーなど、多くの歌手によって歌い継がれてきた名曲中の名曲。それをイギリスの画家、ジェーン・レイが美しい絵本にしたものです。日本語版の「遠くから見ると」(BL出版)は残念ながら絶版になってしまいましたが、樋口さん自ら訳詞したものを朗読した後に、英語詞の原曲を歌ってくださいました。豊かで芯のある歌声からは、平和と希望のメッセージが力強く伝わってきました。「遠くから見ると」、世界はこんなに美しく、平和で、歌や音楽に満ちているのに、現実の世界では、戦争が絶えず、人々は飢えや貧困に苦しんでいる。思わず目を背けたくなるような、ウクライナやガザの惨状を日々突きつけられている私たちにとって、改めて「遠くから」見た世界を思い描くこと、そこに希望を持ち、それに向かって努力することの意味を噛みしめました。 

続いては、素敵な詩の絵本、「ことり」(まど・みちお/詩 南塚直子/絵 小峰書店)。スタンダードジャズの名曲に加えて、北脇さんの繊細で豊かなギターの音色が映えるオリジナル曲も交えながら、4篇の詩(「リンゴ」、「ことり」、「アリ」、「ねむり」)が朗読されました。11年前、104歳で亡くなった、まど・みちおさん。どんな小さなものや命にも、無限の宇宙のような大きなものを見ていたまどさん。素朴でやさしい言葉で、こんなに深く豊かで大きなものを表現した詩人の感性に、改めて心洗われる思いがしました。また何と言っても、この絵本では、それぞれの詩に添えられた、南塚直子さんの銅版画が、実に美しく温かくて、まどさんの世界にピッタリ。2015年、当時、京都で陶板画の勉強をされていた南塚さんとのご縁で実現した原画展(響き館としてはまだ2回目の原画展でした)、そしてギャラリー・トークの思い出が、懐かしく蘇りました。 

そしていよいよプログラムの最後は「星につたえて」(安東みきえ/文 吉田尚令/絵 アリス館)。クラゲがほうき星に、言おうとして言えなかった言葉が、長い長い時を経て、やっと星に届いた時には、胸いっぱいに込み上げてくるものがありました。

安東みきえさんが綴った、海と夜空を舞台にしたロマンチックな物語と、吉田尚令さんの描く、美しく幻想的で温かい絵の世界。この絵本には、まさにジャズの世界がピッタリです。物語の朗読を、北脇さんのフリー(即興)のギター、そして樋口さんのジャズボーカルが、豊かに彩っていきます。

大切な人を想うがゆえに、寂しくなったり、素直に気持ちを伝えられなかったり、逆に傷つけてしまったり・・・作者の安東みきえさんは、そんな時こそ、大昔にあったかもしれないこんな物語で一息ついてくれたら・・・・という思いでこの本を書いたそうです。最後に歌われた名曲 Moon River の余韻に浸りながら、その想いが、じんわりと伝わってきて、胸が熱くなりました。 

絵本とJazzのコラボレーション。樋口みづほさんがライフワークとして取り組んでいる、ユニークな試み。今回久しぶりの公演で、改めてその魅力を再確認すると同時に、今後の展開がますます楽しみになりました。大人限定の絵本カフェならではの、とびきり豊かで贅沢な時間となりました。

当日の素晴らしいパフォーマンスはもちろん、この日に向けて真摯に準備してくださった樋口さん、北脇さん、公演をサポートしてくださった小峰書店さん(川村さん)、美しいパネルをご用意くださったアリス館さん(郷原さん)、そしてこの日も35℃という猛暑日の中、公演を楽しみに足を運んでくださり、熱心にお聴きくださったお客様、本当に有難うございました!

IMG_20250908_140406694.jpg  IMG_20250908_140251002.jpg

Today's Schedule
2025.09.18 Thursday