お知らせ(8.2 更新! NEW!)
9/15(月・祝) 絵本とJazzの調べ vol.14 6年ぶりに開催します!

絵本とジャズの魅惑的な出逢い。あの「つみきのいえ」(平田研也/文 加藤久仁生/絵)や「星空」(ジミー・リャオ/作)の名演など、開館以来13回を重ねた公演で私たちを魅了したシリーズが、何と6年ぶりに帰ってきます!
出演は、絵本の朗読とジャズの融合をライフワークとし、いつも素晴らしい歌声と朗読で私達を魅了してくださる樋口みづほさんと、前回に続いての来演となる、注目の実力派ギタリスト・北脇久士さん。
美しい朗読と、即興をまじえた、豊かで繊細なギター、素晴らしいスタンダードジャズソングの名曲たち。秋の夜にピッタリな、温かくロマンチックなプログラムを携えて、今回も素敵な絵本の世界をお届けします。公演後恒例のティータイムでは、館内の特別展示の絵本をゆったりお楽しみいただけます。皆様のご参加を楽しみにお待ちいたしております。
【プログラム】
「星につたえて」(安東みきえ/作 吉田尚令/絵 アリス館 2017)
「ことり」(まど・みちお/詩 南塚直子/絵 小峰書店 2009)より
From a Distance (ベット・ミドラー)
(絵本「遠くからみると」(ジュリー・ゴールド/文 ジェーン・レイ/絵 小島希里/訳 BL出版 現在は絶版)の原曲(英語詞))
* * *
日時:2025年9月15日(月・祝) 15:30開演(15:00開場)
※約1時間の公演後、館内の絵本を楽しむティータイム。最大18時までお楽しみいただけます。
出演:樋口みづほ(朗読&ボーカル)、北脇久士(ギター)
会費:2,500円(ロンネフェルト紅茶つき)
お申込み方法:
8月17日(日)15:30~
下記、予約ページより受付開始(先着順・定員10名)
https://hibikikan.com/reservation/event/ (準備中)
公演詳細
「朗読と音楽で綴る~文学と絵本散歩~ vol.10 記念公演」、濃密で幸せな時間となりました!

7月27日(日)、朗読家の馬場精子さんをお招きして、「朗読と音楽で綴る~文学と絵本散歩~」その記念すべき、10回目の公演が開催されました。
節目の公演に相応しいプログラム、馬場精子さんの円熟の語りが、美しい絵と音楽と見事に溶け合い、濃密で幸せな時間となりました。
プログラムの最初は、高田裕子さんの「水の森」(アノニマ・スタジオ 2015)。何千年の命を生きる、屋久杉の森をライフワークとして描き続ける高田さんが、100号キャンバスというスケールで表現した「生きること」「命」のメッセージ。この日は、貴重なメイキング映像もご覧いただいたのですが、極細の絵筆を駆使して、葉っぱの一枚一枚、苔の一本一本まで緻密に描き尽くした、極上の美しさ。それぞれ多様な命ではあるけれど、それぞれが限られた時間を大切に生きているという点で、すべての生き物は同じ・・・そんな尊いメッセージが、最終ページの「生きる」という言葉に凝縮されているように思いました。馬場精子さんの朗読は、みずみずしさと力強さを兼ね備えており、森や水のせせらぎなどの自然音を混ぜ込んだ美しい音楽と調和して、この絵本にこめられたメッセージを確かに伝えてくれました。
そして続くプログラムは、いせひでこさんの「にいさん」(偕成社 2008)。37年という短い生涯を芸術に捧げた画家ゴッホと、唯一の理解者として生涯兄を支え続けた弟テオの物語。芸術と愛で強く結ばれた兄弟の絆・・・ゴッホからテオへ宛てた約700通もの手紙を羅針盤に、ゴッホの歩んだ道のりを実際に旅したという、いせひでこさんが、魂をこめて制作した絵本「にいさん」は、ゴッホへの想いの集大成と言えるもの。研ぎ澄まされた感性で紡がれた、その絵と言葉に圧倒されます。
馬場精子さんの朗読は、美しく端正でありながら、時に熱を帯び、情感豊かでドラマティック。カッチーニの「アヴェ・マリア」を軸としたクラシック音楽との相性も抜群で、作品の本質に深く入り込み、集中した語りは、まるでテオ自身が語っているよう。特に最終部分のくだりには、心が揺さぶられ、思わず胸が熱くなりました。
きこえるかい、空の高いところで鳥がきみのことをうたっている。 ―――「にいさん」「にいさん」「にいさん」て。 ああ、ぼくのたったひとりの、ぼくだけのにいさん---
麦畑の中にきみの空がある。 空の中にぼくらの麦畑がある。 そこらは金と青の風の匂いでいっぱいだ。
奇しくも、この日、7/27 は、今から135年前、バリ郊外の村、オーヴェル・シュル・オワーズの麦畑で、ゴッホが自らを撃ったという日でした(ゴッホはその2日後に亡くなりました。ゴッホの死については諸説あります)。イベントの日程を決めた時にはそのことは知らなかったのですが、「にいさん」のずっしりと深い余韻の中で、そのあまりの偶然に、不思議な感覚に襲われました。
40℃に迫る猛暑の中で開催された、真夏の朗読会。 ですが、「芸術としての絵本」、「文学としての絵本」、そして「芸術としての朗読」・・・ どんな時も、私たちの傍にいて、心を豊かにし、寄り添ってくれるものがそこにはありました。 何て幸せなことでしょう。
素晴らしい絵本を創り、届けてくださった、高田裕子さん、いせひでこさん、 美しく、凛とした、温もりのある「声の芸術」で、いつも心を動かしてくださる馬場精子さん、 まるで屋久島の森やフランスの風景に包まれるような美しいパネルをご提供くださった、アノニマ・スタジオの下屋敷さん、偕成社の井上さん。 そして何より、暑い中、この公演を楽しみにご来場くださり、作品に集中して耳を傾けてくださった皆様。
すべての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。 本当に有難うございました!