お知らせ(3.12 更新! NEW!)

ニュースでご存知の通り、詩人のまど・みちおさんが、2月28日、104歳で亡くなられました。まさに大往生とは言え、100歳を超えてからも精力的に創作を続けられていたので、やはり悲しく残念でなりません。まどさんの詩には、決して難しい言葉や表現は出てきません。清らかで瑞々しい言葉が、まっすぐに心の中に素直に届く、そんな詩の世界。やさしい言葉の中に、私たちが日頃見過ごしてしまうような、驚きと発見が散りばめられています。同じ詩人の谷川俊太郎さんは、「まどさんは、小さなものを見つめる顕微鏡のような目と、大きな宇宙のようなものを見つめる天体望遠鏡のような目の両方を持っている」という趣旨のことをおっしゃっていました。実際、まどさんの詩には、小さな生き物に焦点を当てたものもたくさんあります。それらを読むと、まどさんが、どんな小さな存在に対しても、たっぷり大きな愛情を注いでおられたのが、よく分かります。

 

以前、まどさんの創作を追ったドキュメンタリーがNHKで放送されていました。氏は、その中でご自身のことを「不思議がり」とおっしゃっていました。世界のどんな小さなことにでも、驚き、発見がある-。入院中、病院の周りを車椅子で散歩されていた時、池の水面に広がってく波紋を、本当に不思議そうにいつまでも見つめられていた、その真っ直ぐな眼差しが、今も脳裏に焼きついています。

 

100歳を超えた大詩人は、とっても素朴で飾り気のない、どこにでもいる、人の良さそうな「おじいちゃん」という印象でした。そんなまどさんの、数多くの詩集の中から、響き館おすすめの一冊は、版画家の南塚直子さんが素晴らしい絵をつけた「ことり」(小峰書店)。100歳記念として出版され、「りんご」「いきもののくに」など、まどさんの詩の魅力がたっぷり詰まったこの詩集絵本を読み返しながら、心からご冥福をお祈りしたいと思います。(この絵本はもちろん、まどさんの詩を、自然の風景を眺めながら、屋外で読んでみるのもおすすめです。まどさんが愛情をこめて見つめた風景に、きっと出会えるに違いありません。)

 

※文中にあるドキュメンタリーの再放送が決定しました!

NHKスペシャル「ふしぎがり~まど・みちお 百歳の詩~」

7日(金)[6日(木)深夜]午前 0:30~1:30 NHK総合・大阪

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2024.03.29 Friday