お知らせ(4.5 更新! NEW!)

ニュースでご存知の通り、詩人のまど・みちおさんが、2月28日、104歳で亡くなられました。まさに大往生とは言え、100歳を超えてからも精力的に創作を続けられていたので、やはり悲しく残念でなりません。まどさんの詩には、決して難しい言葉や表現は出てきません。清らかで瑞々しい言葉が、まっすぐに心の中に素直に届く、そんな詩の世界。やさしい言葉の中に、私たちが日頃見過ごしてしまうような、驚きと発見が散りばめられています。同じ詩人の谷川俊太郎さんは、「まどさんは、小さなものを見つめる顕微鏡のような目と、大きな宇宙のようなものを見つめる天体望遠鏡のような目の両方を持っている」という趣旨のことをおっしゃっていました。実際、まどさんの詩には、小さな生き物に焦点を当てたものもたくさんあります。それらを読むと、まどさんが、どんな小さな存在に対しても、たっぷり大きな愛情を注いでおられたのが、よく分かります。

 

以前、まどさんの創作を追ったドキュメンタリーがNHKで放送されていました。氏は、その中でご自身のことを「不思議がり」とおっしゃっていました。世界のどんな小さなことにでも、驚き、発見がある-。入院中、病院の周りを車椅子で散歩されていた時、池の水面に広がってく波紋を、本当に不思議そうにいつまでも見つめられていた、その真っ直ぐな眼差しが、今も脳裏に焼きついています。

 

100歳を超えた大詩人は、とっても素朴で飾り気のない、どこにでもいる、人の良さそうな「おじいちゃん」という印象でした。そんなまどさんの、数多くの詩集の中から、響き館おすすめの一冊は、版画家の南塚直子さんが素晴らしい絵をつけた「ことり」(小峰書店)。100歳記念として出版され、「りんご」「いきもののくに」など、まどさんの詩の魅力がたっぷり詰まったこの詩集絵本を読み返しながら、心からご冥福をお祈りしたいと思います。(この絵本はもちろん、まどさんの詩を、自然の風景を眺めながら、屋外で読んでみるのもおすすめです。まどさんが愛情をこめて見つめた風景に、きっと出会えるに違いありません。)

 

※文中にあるドキュメンタリーの再放送が決定しました!

NHKスペシャル「ふしぎがり~まど・みちお 百歳の詩~」

7日(金)[6日(木)深夜]午前 0:30~1:30 NHK総合・大阪

2/22発売のSAVVY 4月号の「関西の本屋&ブックカフェ」特集および、単行本「京都・大阪・神戸 BOOKカフェ案内-すてきなCafeで本に出会う-」(メイツ出版 ¥1680)で、響き館が紹介されています。ブックカフェの特集やガイド本はこれまでにも何点かありましたが、京阪神エリアに絞って、これだけの充実した情報量のものはこれまでなかったかもしれません。かなりのブックカフェ通の方でも、新たなお気に入りスポットにめぐりあえるかもしれません。

近年、カフェの個性が重要視される中で、都会ではブックカフェというのはあまり珍しいものではなくなってきました。しかし、そのスタイルは実に様々、特に本のセレクトなどは、本当にその店らしさや個性が表れているのではないかと思います。響き館は、毎回企画展という形で、テーマに沿って、大人の読者のために、絵本のセレクトをしています。ブックカフェというジャンルではあっても、響き館の主役はやはり絵本。美術館のような静かな空気の中で、物語と絵をゆっくりご堪能いただき、お気に入りの絵本との出会いをお手伝いできれば、これほどうれしいことはありません。

11日(火・祝)に、開館以来7度目となる朗読コンサート、「絵本とJazzの調べ」が開催されました。冷たい北風の突風が吹くような、まさに真冬の寒さの一日でしたが、今回もたくさんの方々がご来場くださいました。2014年の響き館、最初のイベントということもあり、「新しい年の扉をひらく絵本」というサブタイトルにぴったりな、海外の傑作小品を3つ取り上げました。出演は、ジャズボーカリストの樋口みづほさんと、ジャズピアニスト、西脇敦子さん。響き館でも4度目の共演となるお二人だけあって、朗読と歌とピアノのコラボレーションは本当に息もぴったり。よく練られた選曲をはじめとする構成・演出も、お二人の絵本に対する造詣の深さを映し出して見事でした。また特に今回印象的だったのは、初めての試みとなった、即興ピアノによる、文字なし絵本のプログラム。文字が少ない絵本は、もともと「余白の多いメディア」と言われますが、まさにその究極の形である「文字なし絵本」を楽しみながらの即興ピアノ。西脇さんの自由で変幻自在の演奏は、聴き手をとても豊かな創造の世界へ導いてくれました。絵本の朗読とジャズのコラボレーションという、このユニークな試みは、回を重ねるごとに深化してきまたが、今回の公演はまたその新たな可能性を感じさせるものでした。公演に向けて、短い準備時間の中で高いクォリティを追及してくださった樋口さん、西脇さん、本当に寒い中をお越し下さり、絵本とジャズの世界に熱心に耳を傾けてくださった皆様、本当に有難うございました。

まだまだ厳しい寒さの中、時折、雪が舞う京都。しかし季節は目に見えないところで着実に進み、来月には少しずつ春の兆しが見え始めます。この、寒い冬から暖かい春へと向かう季節、響き館では、2月1日(土)より、「絵本の中のちいさな幸せ」と題し、物語を通して、ささやかな希望や幸福を感じ取ることのできる絵本を特集します。社会がめまぐるしく変化し、価値観も多様化する現代を生きる大人にとって、絵本はどこか懐かしく、何か普遍的なもの、そして「幸せ」のヒントを与えてくれる、心の拠り所と言えるかもしれません。

 

アメリカの絵本作家、M.B.ゴフスタインの代表作「ゴールディーのお人形」は、今回のテーマにまさにぴったりな一冊。小さな手作りの木の人形を、一生懸命彫り続ける職人の女の子ゴールディーが、孤独や悲しみを抱えつつも、ある素晴らしい出会いを通して、自分の仕事のかけがいのない意味と幸せを見出していく物語です。モノクロのシンプルな絵と味わい深い文章で綴られ、「自分が信じる素晴らしい何かのために黙々と働く人々の美しさと尊さ」(ゴフスタイン)を描いたこの愛すべき絵本は、多くの読者からの声に応えて、昨年末に待望の復刊となりました。

 

 少しずつ春へと向かうこの季節、どうか、それぞれの作品を手に取っていただき、絵本と心で対話する中で、自分らしい「幸せ」のヒントを探してみては如何でしょうか。

 

※1月30日(木)31日(金)は、展示替えのため、休館いたします。

2月11日(火・祝)に、開館以来7度目となる、絵本の朗読とジャズのコンサートを開催することになりました。出演は、いつも素晴らしい歌声と朗読で私達を魅了してくださる樋口みづほさんと、関西のライブハウスを中心に活躍中の人気ジャズピアニスト、西脇敦子さん。今回のプログラムは、新しい年のスタートに相応しい、海外絵本の傑作小品集。美しい朗読と、即興ピアノ、そして素晴らしいジャズソングの名曲たち・・・お2人の描く、更に深化した「絵本とジャズの世界」にご期待ください。公演後恒例のティータイムでは、館内の絵本をゆったりお楽しみいただけます。皆様のご参加を楽しみにお待ちいたしております。

 

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2024.04.30 Tuesday