お知らせ(3.12 更新! NEW!)

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7月から好評開催を続けてまいりました、夏の企画展・絵本「水の森」特別展の最後を飾る嬉しいお知らせです。この絵本の作者である、屋久島在住の画家・高田裕子さんから、新作原画が届きました!「水の森-はじまり-」と題された作品は、絵本のもとになったラフスケッチから、新たに作品として描きおろしてくださったもの。絵本の前半部分、一滴のしずくから、やがて何千年という命の森へとつながっていく、その神秘的な誕生の場面を、繊細でみずみずしいタッチで描き出した、実に美しい1枚です。

響き館では「水の森」特別展・アンコール&フィナーレと題して、会期を少し延長し、29日(木)より、この美しい原画をじっくり味わえる機会を設けることにしました。葉っぱの1枚1枚、溢れる水の恵み、そしてすべての始まりとなる一滴のしずく---原画でしか味わうことのできない、精緻な筆づかいと、作品にこめられた想いを感じていただければ幸いです。皆様のお越しをお待ちしております!

 

<新作の制作に寄せて 2016.9.21付 高田裕子ブログより>

水のなかから、形が浮かび上がるような感じ、
屋久島の森ではそんな感じがする。
全部が水で出来ていて、
私も70%は水、なのだけれども、
それが視覚化されてるような感じ。
そう思うと全ては繋がっていて、
植物がどんどん育っていく不思議も、
そういうものかな、と思う。
そういう感じ、いいなあ。
私もつながっている。
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※アンコール&フィナーレは、当面10月17日(月)まで開催予定です。
朗読と映像・音楽による特別上映(朗読:福山ひでみ/制作過程ドキュメンタリー含む)も引き続きお楽しみいただけます。
※作者のサインとイラスト入りポストカードプレゼントは、残り僅かとなっております。ご希望の方はお急ぎください。
新作原画は販売もいたします。詳細はお問い合わせください。
※10月下旬~予定の秋の企画展にさきがけ、展示の一部を入れ替え、「秋を彩る絵本」コーナーを新設します。美しい季節の変化を絵本を通して感じることができます。 
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 去る9月24日(土)、朗読家の馬場精子さんをお迎えして、3度目となる「朗読と音楽で綴る~文学と絵本散歩~」が開催されました。台風の影響も含めて、長く秋雨が続いていましたが、当日は久しぶりに穏やかな天候に恵まれました。

 今回も、文学作品から、新美南吉の「去年の木」「でんでんむしのかなしみ」をはじめ、大人を対象に、音楽の演出とともに、じっくりと絵本の朗読を聴かせてくださいました。馬場さんの朗読は、今回も素晴らしい完成度で、聴き手の心を強く揺さぶるものでした。芯のある、心に響く声には、常に「強い意志の力」が感じられ、ドラマティックな場面では、十分すぎるほどの感情の起伏をもたせつつ、決して節度を失わない、まさに「声の表現者」として、私達にしっかり「物語」を伝えてくださいました。馬場さんが日ごろよくおっしゃる事ですが、朗読する者は、「どんなに悲しい場面でも、決して感情的になって、自分が泣いてしまってはいけない」そうです。公演を聴いていて、本当にそのことを納得させられました。また公演のもう一つの醍醐味である、音楽とのコラボレーションも、とても鮮やかでした。言葉と同じく、音楽にも、メロディーやリズムといった、表情の変化がありますが、馬場さんの朗読は、見事にそれを捉えていて、まるで言葉と音が、互いの力を引き出しあっているかのようでした。これは、洋の東西を問わず、様々な楽器とコラボレーションを試みてこられた馬場さんの朗読ならではの魅力だと思います。

 長いキャリアを通して「芸術としての朗読」を追求してこられた、馬場精子さん。その圧倒的な表現力の高さに改めて感銘を受けるとともに、この公演では、そこに素晴らしい「絵」と「音楽」が加わることで、また新たな「芸術」が生まれてくるのを感じました。ご来場のお客様の感想に「まるでいい映画を観ているようでした」という嬉しいお言葉がありました。何よりも人の心をリアルに伝えられる「声」、そして、美しい「絵」と「音楽」、それらが三位一体となることで、絵本は、立派な「総合芸術」になる----そんな想い、夢を、新たに心に刻むことのできる、幸せな一日でした。

 この小さな空間での朗読に、たっぷりのエネルギーを注ぎ込んで準備をしてくださった馬場精子さん、そしてお忙しい中をお越しくださり、作品に真摯に耳を傾けてくださった、ご来場の皆様、そして何よりも素晴らしい作品たちに、心から感謝しております。本当に有難うございました。これからの「文学と絵本散歩」シリーズにも、どうぞご期待ください。

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